(2001.07.02)
[2021-01] このページで紹介している「親指シフトコンパクトキーボード」(FKB8579-661EV) については、すでに生産終了しています。中古品も出回っていないようです。
今回試用したキーボードは,富士通高見澤コンポ−ネント(株)が試作したコンパクトな親指シフトキーボード。小森さん,田之上さんのご厚意で6月初めからお借りして,約1ヶ月間,日常使いの感触などを調べてみた。
このキーボードは,大きさが幅約29cm,奥行き約13cmと非常に小さく,キーがぎりぎりまで配してある。キー一つ一つの大きさは普通のデスクトップ用キーボードと同じ。レイアウトは次のとおり。
+==========================================================================+ | | | | | | | | | | | | | | | | |Esc |1 |2 |3 |4 |5 |6 |7 |8 |9 |0 |- |^ |¥ |] | +==========================================================================+ |半角/ | | | | | | | | | | | | | | |全角 |Q | | | | | | | | | | | |改行 | +==========================================================================+ | | | | | | | | | | | | | | | |CapsLock|A | | | | | | | | |; |後退|取消|@ | +==========================================================================+ | | | | | | | | | | | | | | |シフト |Z |X |C |V |B |N |M |, |. |/ |\ |シフト | +==========================================================================+ | | | | | | | | |ひ | | | | | | |Ctrl|Fn |Win|Alt |タブ|親指左 |親指右 |空白 |ら |Alt|Win|App|↑ |Ctrl| +==========================================================================+ | | | | | | | |無変換|変換 | |← |↓ |→ | +=============+ +==============+
ファンクションキーや[Insert], [Delete]などの編集キーも全て省略されている。これらのキーは手前左の[Fn]キーを併用して入力することになる。テンキーも省略されており,こちらはノートパソコンのように何かのキーを併用して入力することはできない。
その一方で[Windows]キーとかは省略してないので,右手手前が結構窮屈に感じる。というかこれは省略しすぎと思う。ファンクションキーと[Delete], [Home], [End], [PageUp], [PageDown]ぐらいはないとちょっと困る。
Windowsでは専用ドライバを入れるのが順当な線だが,私はkeymap95と拙作のQ's Nicolatterとの組み合わせでNICOLA配列にして使ってみた。keymap95は常時キー配列を変更するソフトで,Q's Nicolatterは英数 (IME OFF) モード,日本語モード別にキー配列を変更するソフト。keymap95で[改行]キーの位置などを変更し,Q's NicolatterでNICOLA配列化した。
日本語モードの配列をNICOLAにする場合,シフト動作が「同時打鍵」という方法のため,ハードウェア(キーボード内)かソフトウェアで何とかしないといけない。このキーボードの場合はキーボード側では特に何もせず,ドライバかQ's Nicolatterのようなソフトで同時打鍵を捌くことになる。
ソフトウェアで親指シフトを行うときは,タイピングの揺らぎによる同時打鍵判定ミスがハードウェアより多くなるきらいがあるが,親指キーが独立していればそのような心配は不要で,その点では非常に快適にタイピングできた。
むしろこのキーボードでは,ハードウェアで小細工をしてないので,ソフトウェアで親指シフト化する場合に障害となるものがなく,大変スムーズにいったのではないかと思う。
まぁ,英数 (IME OFF) モードのときに親指キーが空白キーになるとより便利なので,そこはQ's Nicolatterの方に手を入れてバージョンアップ版として公開した。
Windowsでは専用ドライバがなくても何とかなったが,Linuxでは私の環境では使うことができなかった。
X上でキーコード,keysymを調べてみると,[親指左]キーが右[Ctrl]キーと同じキーコードを発生し,そのため親指キーをシフトキーとして設定することができない。Windows機では区別されているのになぜLinux機の方で区別されないか原因は分からなかった。
どうもコンソールではそのような現象は生じてないだけに,かなり謎。というか誰か教えて?
キーボードは日常接するdeviceだけに,その感触などは結構重要だと思う。その点このキーボードは非常にしっかりしている。
作り込みの精度が高く,最近の安物にありがちな隣のキーと擦れ合ったり,1回打ったつもりが2文字入るとか,そういうことは全くない。というか,このぐらいが当たり前と思うんだが,最近はそうでもないらしいので,これはよい。
キータッチもよい。まぁ,これは多分に主観だが,押し始めからすっと入り,着地も僅かにクッションがあるので,長時間打ってても特に指が痛くなることもない。
タッチ音も静かで,真夜中でもガチャガチャ音が目立ったりしない作りになっている。
最近はヘボヘボなのに接することが多いので,全般的になかなか素晴らしいと思う。
レイアウトを見てもらうと分かるが,このキーボードはかなり特殊なキーの配列をしている。
まず[変換],[無変換]キーがA段(空白キーのある行)の手前にあるのはなかなか使いやすい。これは空白キーとか大きく取りやすいし,ローマ字入力のときでも有効。ワープロ専用機はみんなこの配列なのにPCのキーボードはなんでこうならないんだろう。
[親指左],[親指右]キーは,親指シフトでの文字選択に使うキーで,ローマ字入力などのときは空白キーとすればいい。あるいは後退キーにしてもなかなか使いやすい。
しかし,これ以外のキーはなんでわざわざ変えてあるんだろう。一番かなわないのは[改行]キーが遠いこと。C段([F], [J]の行)にないと英文やプログラム書くときにとても困る。 というか[後退],[取消]キーはこんなところにいらないし,特に[取消]キーは[Esc]キーと何が違うのか。
結局,[タブ],[改行],[後退],[取消]キーは全部場所を変更し,普通のJP106キーボードっぽくしてしまった。
このキーボードは試作品ながらしっかり作り込まれており,キータッチなども素晴らしい。また,[変換],[無変換]キーなど(ローマ字入力など)全ての人に有効なアイデアも盛り込まれている。しかしいくらコンパクトさが売りでもちょっとキーを省略しすぎであり,また,[タブ]キーなど何しにわざわざ配列を変えてあるのか分からないところがある。
結局,